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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

連載小説「松風寮の四季」第一章春はあけぼの  第5話 だれや!この食べ残しは!

 6月中旬、就職して2か月半、山口も藤木も仕事には随分馴れて来た。上司に「おい、山口っ、今日は、山手第一中学の側溝の険尺してきてくれ。」「へーい、了解しました。」といいつつ、ライトバンに乗り、朝から険尺へ、作業は1時間もかからずに終わり。後は、建設中の校舎の屋上で、朝寝。昼になると起き出して昼飯をなじみの飯屋で食べてから会社に帰るというサボり方も熟知した。なんといっても山口だけの夜の労働?がハードなため眠たいのである。

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連載小説「松風寮の四季」第一章春はあけぼの 第4話倉庫の宝の山

 春風そよぐ、心地よい4月終盤、ポカポカと暖かい日曜日であった。山口は連日の酒責めに少々疲弊しながらもまだまだ元気であった。

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連載小説「松風寮の四季」第一章春はあけぼの 第3話 ソフトクリーム

 昨夜、無理やり九腕に飲まされた酒のおかげで爆睡していた山口は、明け方夢を見た。それは年配の寮生が食堂に集まり丼鉢で酒を回し呑みしていた。それはまるで、鬼ヶ島で赤鬼、青鬼が酒を酌み交わしているのを、桃太郎が岩陰からそっと除いた様な場面であった。隅の方では新規採用生が小さくなり、お鉢(ドンブリ鉢ですが)が回ってくるのにおびえている場面である。ドンブリ鉢になみなみと注がれた酒(この場合“酒”とは日本酒のことですが)を一気に飲み干さねば、ペナルティとしてその場でもう一杯注がれるのである。この時期よく新聞に、急性アルコール中毒で死亡する新入社員のことが載っていたが、この状態はまったく他人事ではない。

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連載小説「松風寮の四季」第一章春はあけぼの 第2話 挨拶回り

 寮に荷物を運び込んだ数日後の4月1日、桜吹雪の中で、盛大に入社式が行われた。山口と同期で石山支店に入社した新入社員は3名、となりの大津支店は2名であった。そのうち山口を含む4名が松風寮に入寮したのだった。
 大津支店に配属された同期の藤山に、例のドアの穴のことを聞いてみたが、郵便物でも入れる穴じゃないの・・・と気楽なものである。

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連載小説「松風寮の四季」第一章春はあけぼの 第1話 入寮

 京都府宇治市の貨幣の絵柄で有名なお寺を過ぎると曲がりくねった山道が続く、都市近郊には珍しいアーチ式ダムの横を過ぎると左横にはダム湖の湖面が見え隠れする。湖岸の道には幾筋ものタイヤが滑った黒い轍がついている。ここはどうやら峠道レーサーのメッカのようだ、高校時代の近所の友人に頼み、4月から務める職場の独身寮へ荷物を運ぶのを手伝ってもらっている。というより、近所の友人で車をもっているのがそいつしかいなかったので、必然的に頼む相手はそいつしかいなかったのだ。

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