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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評「花のさくら通り」(荻原浩)

 作者が広告会社にて仕事をしていた時の経験が背景としてあるのだろうか?この作品はユニバーサル広告社を舞台とした第3作目とのこと。ユニバーサル広告社というつぶれかかった会社の石井社長、主人公の杉山、多才な村崎、唯一のアルバイトの女性、猪熊エリカという個性的な面々が、会社が都落ちして行った、すたれかかった地方の商店街をほとんどボランティアで盛り立てていく・・・というお話である。
花のさくら通り

 地方の商店街“さくら通り商店街”は、昨今の例に漏れずシャッター街の様相を色濃くしてきており、その商店街を牛耳る会長の磯村は不動産屋であり、すたれた商店街を廃業させ、マンションを建てようとたくらんでいる。商店会の面々も、個性的ではあるが、この流れを半ばあきらめるかのように日々をすごしていたのである。ユニバーサル広告社はこんな閉塞した場面を切り開き、商店会の長老達に立ち向かう。商店会の面々も、特に団子屋の守を中心に商店街を変えようという動きに目覚めるのである。
 トピック的内容としては、商店街としての大々的取り組みである放火魔の確保や、近隣のオールド化してしまったニュータウンへの出店とか、さらにお寺の息子である光照と教会の娘である初音ちゃんとの恋物語。すみれ美容室の寿美代大先生の思いなど興味深いパーツがちりばめられている。
 主人公杉山がここ一番の時に心の支えとしているもの、それは今はすでに離婚している妻と同居の小学校3年生の一人娘早苗の「さぁ、父ちゃん、行くぞ」という言葉であった。Ipodからの娘の声を聴き、杉山はさくら通り商店街の宣伝画像を作るべく、商店会会の磯村に挑むのであった。
 荻原浩の作品の魅力は、閉塞した世界へ光明を射させる事、最初はそうでもないキャラクターに最後には素晴らしい活躍をさせることだと思う。“人間捨てたものじゃない”と思わせる所以であり、自分の大好きなシチュエイションなのである。

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