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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評「人間の海ある戦後ノオト」(永畑道子)

 著者は1930年初期熊本に生まれた。地方新聞である熊本日日新聞の初の女性記者だ。戦中から戦後にかけて、女性に関する多くの取材及び著書を著している。この本は自伝を柱に、ご自身が取材した明治から昭和の著名な女性、柳原白蓮や与謝野晶子、壺井栄などの知られざる私生活について丁寧な取材から得た成果を著している。ご自身についても変動多き人生の中で得た生き方を書かれており、その強さには心打たれる。
人間の海

 悲しみをバネにして次の仕事へ、挫折は大事な体験、書く事は未知の人生に出会うこと、このような脱皮が人生に取って大切なことである。与謝野晶子はこのような脱皮を「瑠璃色への飛翔」とよんだ。人生とはその繰り返しかもしれないと。
 文中には柳原白蓮の夫のことが出てくる。世に名が知れた白蓮、その夫はとんでもない非人間的な人、そのように知られていたのだが、実は真逆の真実を彼女は取材の中で突き止める。有島武郎と心中した波多野秋子その夫春房も大きな誤解をうけていた一人である。坪井栄の若かりし頃傾倒したダダイズムやアナキズム、そしてそこから離れ、故郷小豆島へ帰ってからの執筆活動など、おとなしい女性というイメージを今までもっていたのだが、そうではなかった事実がこの本で始めて知らされた。
 巻末には敗戦後、日本の為政者のうろたえぶりや、その影で、厳しい生活を余儀なくされた女性の事などを冷静にそして如実に書かれている。歴史の裏に隠れていた事実が始めて明るみに出されたという印象を受けた。

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