
人は生きている間、いろんな確執に翻弄される。そして、それは死に際にまで続く。生きていくことも辛いことは多いが、死んでいくのもなかなか身軽では無い。資産があろうがなかろうが、美貌であろうがなかろうが、人はそれぞれ引きずって行くものを多く持っている。
連れ合いがいまわの際に発したたった一言がそれまでの人生を全て否定されるような強烈な言葉もあり、盗みに入って見つかり、ごちそうになった牛肉のそぼろ煮が先の人生のスタートになったり・・・・。
この小説を読み終えて、なんと人生とはしんどいものかと思ってしまうのである。よくよく考えると、今の自分だって、いっぱい重荷を背負っているのであるが、あんまりそれを気に病むと生きては行けない。しかし、なにも考えないと今度は周りを傷つけることになる。持っている重荷は引きずらねばしかたがない。すべてがすべて切り捨てられるものではない。だからなるべく、気にしないことが生きていく上では必要なのだろう。しかし、他者にたいしては、そんな重荷をなるべくなら持つことのないように配慮することが、せめてもの心遣いなのだろうな。多くの人がそんな風に考えるようになれば、少しは生きやすい社会にはなるだろう。そんなことを思った。
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