FC2ブログ
 

2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評「ハツカネズミと人間」スタインベック(1937年)

これを読むのは2度目だ。小男のジョージと大男レニーがある農場で働くために、そこへ向かう所から話は始まる。二人はそれまでに住んでいた町で事件を起こし、半日用水路の水の中に身をかくしてから逃げてきたのだ。 レニーは少々頭が弱い。しかし、普段は大人しく、とても力がありよく働くのだ。そんなレニーをジョージは始終面倒を見ている。ジョージがいなければレニーは生きて行けないだろう。
ハツカネズミと人間

時おりジョージはレニーに言う。おまえがいなけりゃ俺は今ごろ自由で、女の所へ行って好き放題生きている・・・と。そう言いながらもジョージはレニーを捨てられない。
レニーは小動物が大好きで、ウサギの世話をすることを夢見ている。ジョージはよく、自分の夢をレニーに語ってやる。それはレニーが要望するからだ。ジョージの話しは、おおよそこのようなものだ。俺たちは農場で働いて金を貯める。そして小さな家と畑を買う。そこで畑を耕し、牛や豚を飼い。その土地がくれる一番良いものを食べてくらすのだ。ウサギを飼い、レニーはウサギにえさをやる。
ささやかな夢、これが二人にとっての生きる意欲ともなっているのだ。
しかし、たどり着いた農場で、また事件が勃発するのだが・・・。
人と人との関わりにはどうしょうもない場面もあれば、とても大切な場面もある。生きていく上での支えもあれば、いさかいの原因や挑発もいっぱい転がっている。ジョージのように、それらをうまくかわしながら生きていけるものは幸いである。しかし、レニーはそんな器用なことは出来ない。
この物語では、しいたげられている老いた掃除夫のキャンディ、馬屋番の黒人が出てくる、彼らの会話も興味深い。そして、ラバ使いのスリム。こいつはいいやつだ。
19世紀アメリカの不況の時代を背景とした社会や人間の荒廃、そして、ヒューマニズムとささやかな人々の夢。そんなことを著した含蓄の深い中編小説である。”人は夢と仲間がいないと生きてゆけない”ご一読を。

スポンサーサイト



PageTop
 

コメントコメント


管理者にだけ表示を許可する