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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評「空の中」有川浩(2004年)

 かの「阪急電車」「図書館戦争」で有名な有川浩さんの小説です。この「空の中」は「塩の街」、「海の底」と共に自衛隊三部作と呼ばれるものの一つで、航空自衛隊が登場人物に出てくる。
 彼女の小説は現在大人気のようで、なかなか図書館で借りられない。この「空の中」もようやく、書庫本があったので借りられたのだ。(余談ですが、我が家にはもう本を置くスペースが無いので、どうしても欲しいもの以外は買わないことにしているのです。)
空の中

 物語は、かの国産航空機YS-11の開発以降長い期間が開いていた日本の航空機業界が、あたらな成層圏飛行が可能な小型機を開発するところから始まる。作者の有川さんは、航空機業界やメカニズムに随分造詣が深い、もっと言えば自衛隊についてもだ。そういえば、かの「阪急電車」の中にも“軍ヲタ”の大学生がでてきたっけ。技術的にもかなり正確で、破綻がない。小説の中でのマニアックな世界への立ち入りは、くどすぎると敬遠されるが、好きな者にとっては“我が意を得たり”という場面があり楽しい。
 その航空機“スワローテイル“が超高空での試験飛行中爆発してしまう。引き続いて航空自衛隊のイーグルが同じ空域で爆発。スワローの事故調査委員”春名“と、自衛隊で爆発したイーグルと共に飛んでいた武田三尉は、その原因を究明するためにふたたび事故が発生した空域へ向かう、そしてそこで発見したものは・・・。
 物語はもう一つ同時並行で進行する。イーグルで事故にあった武田三尉の上司、斉木三佐の息子“瞬”は高知の仁淀川で不思議なモノを発見する。さてそれはなんなのか・・・。ふたつの物語は最後にはどのように関係してくるのか?
 角川文庫、503ページこの分厚い文庫本が一気に読み進んでしまう。ページが残り少なくなるのが残念に思うくらいだ。ほんとに楽しめます。
 さて、有川さんが、作中の登場人物に話させるその内容についてですが、考え抜かれ、完璧な会話なんですね。「阪急電車」や「塩の街」でも思ったことなのですけど、失言的なことが出てこない。悪く言えば“予定調和”的な気がしてしまう場面も・・・。しかし、これらの会話を作者がどれだけ考え抜いたかということを想像しながら、読むこともまた一つの楽しみ方だと思います。
 この小説にも魅力的なキャラクターが沢山出てきます。春名高巳、武田三尉、斉木瞬、桂江、宮じい・・・など。荒唐無稽な小説だけど、その中で翻弄されるこれらのキャラクターには愛着が持てるのです。
 蛇足になるかも知れないけれど、この物語は色々とお話を展開、発展しようと思えばできるストーリーだと思った。また、”つづき”も創れるんじゃないかと。ストーリーに触れてしまうといけないので、何を言っているのか分からないかも知れないけど、色々にストーリーが展開出来るお話なのです。そんなことも想像しながら読むとまた楽しい。もっとハラハラ・ドキドキの場面も創ろうと思えば創れてしまう気がするのだ。

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コメントコメント


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少し早めに会社を出たので帰り道に貯まった図書カードで買い求めました。
未だ序章段階ですが面白そうな展開ですね。
特に三柿野界隈の描写は短いながらヘリ開発の仕事で足繁く通った記憶が蘇りました。
ただ例の正体不明の生き物は荒唐無稽に思えます。
さて続きを読むか。

うんちく | URL | 2013年05月17日(Fri)23:13 [EDIT]


うんちくさん
 面白いでしょ!
 荒唐無稽といったら、梨木香歩さんの”沼地のある盛りを抜けて”だったか、森全体の菌糸が、一つの固体・・・なんてのもありました。これもすごいですよ。
 想像を逞しくして私も何か考えてみようかな?たとえば、地球全体がカメの上に乗っているとか?え、聞いたことある?失礼しました。

四方山果無 | URL | 2013年05月19日(Sun)12:41 [EDIT]