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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ

あまりにも有名なこの題名、そう、映画にもなった。ヒロインはあの「ローマの休日」のかわいらしいヒロインを演じたオードリー・ヘプバーンとのことだが、実はまだ映画も見たことはない。2008年に村上春樹の新訳が出ていて、それがたまたま図書館で目に留まったので借りてきたのだ。
ティファニーで朝食を

 新訳だから、新しい物語のように感じられるが、なんとこの小説がリリースされたのは私の生まれた年なのだ。さらに、この物語の背景は戦争(第二次世界大戦)中だったのである。
 題名の由来はアメリカの大都市、ニューヨーク、その五番街にある有名な宝石店「ティファニー」で朝食が食べれるというほどの身分、豊かさの比喩がこの小説のヒロインの言葉となっている。(実はティファニーにはレストランは無いらしい。)
 夜の社交界なんて私たち庶民には実はあんまりイメージ出来ないのだが、その世界で脚光を浴びている映画女優のタマゴであるホリー、そして彼女をとりまく多くの男達。彼らとの空騒ぎ。
 そしてこの物語を語る同じアパートに住む小説家を目指す“僕”(若き日の作者の姿が垣間見える)さらに、ホリーや“僕”が常日頃から頻繁に電話を借りるために出入りしている近くのバーのマスター“ジョー・ベル”も実はホリーのことがとっても気になっている。
 物語の後半、彼女はマフィアのボス、サリーとの関わりで逮捕され、保釈中にブラジルへ高飛びする。“僕”やジョー・ベルはその逃避行に手を貸すのだが、それ以来彼女の消息は無くなる。
 そして、物語は冒頭のジョー・ベルからの電話・・・に戻るのだ。
 訳者の村上氏は、原作と映画の齟齬がとても気になっているようだ。ヒロインの選定も、脚本の構成も全てが原作とは相容れない・・・と思っている。そういえば元々この小説が映画化される時、作者のカポーティはマリリン・モンローをヒロインに推薦したというエピソードがある。しかし、彼女は娼婦役を嫌い断ったため、オードリー・ヘップバーンがヒロインとなったとのことだ。
 物語中の“僕”が思うヒロインのイメージはどちらかと言えばオードリーの方が似合っているように私個人としては思うが、翻訳では原作の雰囲気が間接的にしか伝わらないため、そしてまた、その原作の時代背景も理解しないとどんな女優が適しているかはなかなか判断出来ないが、とにかく村上さんは、本の表紙に映画の場面を使うことすら嫌がっているのだから、映画と原作の乖離感は相当あるのだろうと思う。(そんなことを考えていると、ますます映画も見たくなってきた。)
 若き日の思い出、それは懐かしく、ほろ苦く、愛おしいものだ。思い出の箱の中にそれを大切にしまっておいて、なにかある時にだけ取り出してみる。そんなことが出来る者もあれば、ジョー・ベルのようにそれを一時たりとも忘れることが出来ず、毎日延々と散歩をし、街中に彼女の歩く姿を探し求めている者もいる。しかし彼女は“僕”やジョー・ベルの思いなど知らないのだ。
 彼女が身近な所へほんの少し振り向けば、もしくはほんの少し時間を割いて話すことが出来ていれば・・・彼女の人生は違ったものになっていたかも知れない。
 しかし、彼女はそんなことなんて分かるはずがないし、また、求めているものでは無いかも知れない。そんな人生のすれ違いを思わせる小説であった。

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コメントコメント


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春日じゃ無いオードリーのファンなのでこの映画は観ているのですが全然覚えてません。
 一応スペイン階段でヘップバーンが座った石段に座り右手で石段をすりすり♪して間接セクハラはしてきた位のファンなんですけど。
 ちゅーかそもそも授業やバイトの合間に3本500円レベルの名画座で映画を観てたクチなんで途中で入ったり途中で抜けたりで真剣に見て無い事も有りますしね。

欠食児童 | URL | 2012年12月22日(Sat)21:53 [EDIT]


ティファニーで朝食  ムーンリバー

オードリー・ヘップバーン   作品は全ての服装はジバンシー。掃除のシーン  幾ら服装を普通に見せても、やはり。

日本でのティファニーは、とてもリーズナブルな価格です。シルバーは使うと「くすみ」ますが、店舗では無料でクリーニにして元の輝きにしてくれます。

銀の電話のダイヤル回しが確か10$。でもお菓子のオマケに刻印を10$で引き受けました。ティファニーはお客様のご要望を、お引き受けします。とか。

追記
宝飾類は低価格~超高級品まであります。時計はアトラスが有名です。

リバー | URL | 2012年12月26日(Wed)00:03 [EDIT]


欠食児童さん
 私はオードリー・ヘップバーンの出ている映画は”ローマの休日”しか見ていないのですが、ショートカットの彼女は本当に可愛らしかったです。(わたしからみてどれだけお姉さんなのかは分かりませんが・・・)
 あ、ちなみに私はフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」にも一目惚れしてしまいました。彼女のお年は370歳ほどか?
 話がそれてしまいましたが、ティファニー・・・の映画はDVDなんかで出ているんでしょうかね?

四方山果無 | URL | 2012年12月27日(Thu)02:33 [EDIT]


リバーさん
 原作ではホリーが掃除するような場面は無かったのですが映画ではあるんですね。ティファニーにジバンシー、アメリカ映画はさすがに商才に長けているんですねー。
 かの有名なヘンリー・マンシーニの”ムーンリバー”がこの映画の曲だとは知りませんでした。

四方山果無 | URL | 2012年12月27日(Thu)03:07 [EDIT]


当時の背景で、女優はふっくら系と言うかマリリン・モンローのような女優が◎でした。その折にスリムなオードリーが出てきた訳ですから、ヒットしないと言われた理由はそこにありました。しかし、「ローマの休日」で、以後の女優の容姿に多大な影響を与えました。

ティファニーを覗いて見て下さい。オープンハートが有名ですよ。是非一つプレゼントしてあげて下さい。

リバー | URL | 2013年01月02日(Wed)23:24 [EDIT]


リバーさん
 あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いします。
 その後、YouTubeにてオードリー・ヘップバーンの「ティファニーで朝食を」の一部を見ました。村上春樹さんはこの映画を嫌っているようですが、私としてはなかなか素晴らしいキャスティングだと思います。ただ、この中に出てくる日本人ユニオシの役柄は酷い物でした。アメリカ人の日本人(有色人種)に対する露骨な差別意識が見えていて嫌な感じを受けました。

>ティファニーを覗いて見て下さい。・・・・

宝石店なんて、今までに奥さんとの婚約指輪を買いに行った以来、行ったことがありません。どうも貧乏な私にとっては宝石店は敷居が高いですね。

四方山果無 | URL | 2013年01月04日(Fri)07:30 [EDIT]


ダメですよ。

私の方にアップしました。

リバー | URL | 2013年01月04日(Fri)23:55 [EDIT]