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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

頭部MRIで”へたれ”度を検診

私は閉所恐怖症であり、窒息恐怖症だ。先日初めて頭部MRIという検診を受けた。予備知識は少ししかなく、身体の周囲で電磁石を回転させ、磁場を変化させながらスキャンする機械で、原理的には人体に何等接触するものは無い・・・・という程度だった。高をくくっていざ受けて見るとどうしようもなく苦痛を感じた。

 機械に付属した、身体を横たえる部分に寝て、顔の側面には耳を塞ぐためのパッドが当てられ、額にもパッドが当てられる。その状態で測定機械に頭部を挿入される。ケージの中のような雰囲気で照明が点いている。機械の頭部を挿入する部分はCTスキャンと同じように、巨大な磁石が頭の周囲を回転しスキャンしていくのだろう。
 最初に検査室に入ると、技師の方から、初めてですか?と聞かれる。そうですというと、少々うるさいですが、我慢してください。20分くらいで終わります。手術の経歴は?体内に金属は入っていませんか?ありません。それではけっこうです。と言われ、機械の台の上に横になるように指示される。身体にはタオルケットがかけられ、耳と額にパッドが取り付けられる。絶対に頭を動かさないようにしてください。寝てもらってもいいですよ。と言われる。そして、ベッドが動き、頭部が機械の中に挿入される。測定開始。
 私は先にも述べたが、閉所恐怖症であり、窒息恐怖症なのだ。頭部を機械に挿入された段階で、すでに、息苦しくなってきて、手足に虫酸が走る。ちなみに手足や身体は全く自由であるのだが。やがて、摺動音が聞こえてきた。電磁石が回転し始めたのだろう。しばらくしてガンガンという音が聞こえて来る。海堂 尊の「ナイチンゲールの沈黙」に出てくる『ガンガントンネル』という表現は言い得ている・・・・なんて思っている内はいいのだが、20分というかなり長い時間耐えきれるのか・・・・などという思いが頭に浮かぶともうだめだ。目を開けたり閉めたりするが、目を開ければ周囲の狭さが飛び込んできて息苦しくなる。目を閉じれば見えないだけに(当たり前だが)不安感がわき出てくる。
 これではいけない。何か別の事を考えよう・・・・と、仕事の分野で難航している問題の解決方法を考えたりするのだが、(実際の仕事と同様)あえなく行き詰まり思考が進まない。
また、目を開けてケージの中の照明を見て、この発光はELかな・・・?なんて思ったりするが、それだけ。また、ケージの狭さが感じられ、目を閉じる。
次は、“楽しい”カルマンギアのレストアの手順でもおさらいしよう・・・と思い、今までやってきた作業手順や、これからやる内容を頭の中でシミュレーションする。しかし、頭の隅では、3分すぎたかな?5分かな?いやいや、長く感じられるのは自分が嫌いな環境に居るからで、実はまだ1分くらいしか経っていないのじゃないか?・・・何て事を思い出すともうダメである。
ふと思った。自分が何か犯罪の容疑者としてタイホされ、拷問(何て事は現実には無いと信じたい)されるとする。頭部MRIマシーンに頭部を突っ込まれ、「どうだ、お前がやったんだろ。ゲロしちまえよ。ならばこっから出してやる。」なんて言われれば即刻自分がやっていないことでも、「スミマセン、私がやりました。なんでもいいから早くここから出して下さい。ギャー、狭い苦しい!!」と懇願するでしょう。(・・・自分ながらなんと情けない)
また、目を開いてケージを見る。視界の上の方にある部分は何だろう?なんだか鏡のようだ。そうか、気分を紛らわせるために外が見えるバックミラーのような鏡がつけられているんだ。これで、少しは展望(物理的かつ、精神的)が開けたぞ!と無理やり自分に信じこませる。しかし、無情にも鏡に映った景色は、ドライな病院の飾り気の無い壁だけ。ううっ!またパニックが・・・・。
と、突然、今までガンガン言っていた音が変わった。なんだかリズミカルなテンポを取るような音だ。観測のモードが変わったのかな?何だか音楽でも聞こえてきそうなテンポだ。そうだ!音楽でも流してくれれば多少なりともリラックス出来るのに。強力な磁気の影響で金属部分のあるものがだめなら、飛行機のイヤホンのように、プラスチックの管だけのものでもいいのに・・・。あ、音楽なら飽きるから小説の朗読でもいいな。徳川夢声の「宮本武蔵」がいい。音楽なら城達也の「ジェットストリーム」もいいな。どうせなら、検査技師か他の人と話が出きる方がありがたい。励ましてもらえるし、話しをしていると気も紛れる。なんて事を考えながらまた、数分(数秒?)我慢する。
そう言えば、先ほどのバックミラーの先にテレビでも置いてもらって何か映像を流してくれればもっとよいかも・・・。あ、だめだ。自分はメガネを外していると細かい所は見えないんだ。散髪屋のテレビと同じだ・・・・。なんて考え、また数分(数秒?)
家の事、家族の事、117クーペの事、農業のこと、昔の彼女?のこと、母親の介護のこと、消費税のこと、原発のこと、昔あった慚愧なこと、今読んでいる本のこと・・・・頭に浮かぶあらゆることを次から次から思い出し、とにかくこの“狭さ”に意識が行かないように、パニックにならないように努力?する。
もうひとつ、閃いた!観測する前に、耳に聞こえるガンガン音やその他の音の説明を受ける。そしてそのカウントを教えてもらっておく、例えば最初のガンガン音250回×10セットは頭部断面を10分割撮影するためで・・・・次にきこえるトットロ、トットロ音は、50回×20セットで脳内血管の3D画像撮影用・・・・等々。すると、今現在の進捗がわかり、機械の動作が頭の中でイメージされ、また残り時間の推測が出来る?それで、少しでも恐怖症が緩和できれば・・・・。等とも考えながら・・・
ずっと仰向けに寝ているのだが、このまま頭部が動かせないと段々のどの奥のお肉が垂れ下がってきて息がしにくくなり、苦しくなるのではないか・・・という恐怖心が・・・。あ、そうか、口を開けて呼吸すればいいんだ。
こんなことを繰り返し、目を開けたり閉めたり、たまに、手をグーにしたりパーにしたり、足の指を動かしたり、聞こえてくる音をカウントしたり、必死に“狭さ”を意識しないようにした。もし、パニックに陥った場合、このケージから脱出することは出来るのだろうか?身体を下の方にずらし、頭を引き抜けばそれで、出られるんじゃないか?でも、何だか頭部は固定されているようだ・・・そんな事を思い出すともうダメ。すぐさま別の事を考える。
はたして、恐怖の20分間は過ぎ去った。自分ながらよく耐えたと思う。機械から引き出され、視界が開けた時にはまるでアポロ13号の乗組員が地球に生還した時の気持ちがわかるような気がした。もう二度と頭部MRIは受けない!と最初は思ったが、でも、1回耐えきれたんだから、次はもう少し余裕で受けられるんじゃないか・・?という気もしてくるこの傲慢さ。しかし、もう少し、この辺りの精神的対策をして欲しいものだと思った次第です。
後で知ったのですが、閉所恐怖症の者に取っては、頭部MRIの検診は禁忌であるとのこと。そして、最近は開口部がもっと大きいオープン型の機械も開発されているとのことでした。

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コメントコメント


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ガンガン音は頭部断面 トットロ、トットロ音は脳内血管の3D画像撮影用

磁気共鳴で撮影していますから、撮影対象が異なると周波数が違ってきます。

で、このMRIが導入された最初期に6歳の男の子が亡くなる災害が発生しています。原因は室内に置かれていた消火器です。消火器が磁気で吸い寄せられて飛んで来たのです。残念なことに頭部を直撃したのです。

それくらいにMRIの磁力は強いのです。このため身体に金属があると、それ自体が凶器となりかねないのです。
磁気に対して反応しない金・銀・銅でも、磁気によって金属内に電流が生じます。このため心臓にペースメーカーをされている方は厳禁です。更にステンレスは磁気に反応しないと思われますが、反応が鈍くなっているだけなのです。骨折で金属を入れる場合、耐腐食性を優先させるためステンレスを用いていたりしますが、これもダメです。

MRIは磁気、CTスキャンは放射線を用いています。どちらも用途に適した使い方となっています。

MRIでは脳の血管が写せますから、動脈瘤などの発見が可能となります。

技術的に、今は周波数を変えたから、何か違う撮影を行っているとかを考えれば良いかもしれません。

ちなみに私は先月受けた時、寝てしまいました。

リバー | URL | 2012年07月01日(Sun)09:47 [EDIT]


四方山さん

大変でしたね。
失礼ながら、描写おもしろかったです。
気を紛らわすために、いろいろなことを、考える、空想する、
迷走する?。わかります。

リバ-さん機械のことよくご存知で。

私も、3年ほど前に、大たい骨にヒビがはいって、
MRIにはいったことがありました。
やはり、リバ-さんとおなじで、寝ていました。


のらくん | URL | 2012年07月01日(Sun)12:11 [EDIT]


健康第一四方山さん
ワタシは昨年受けましたが別に恐怖感なんて無かったです。
んで!何が判ったかと言うと?「何も無い事が判った」だけでした。
 ただ少し水が多めに溜まってるらしいですがちゃんと排水路が有ってナント排水される水の渦巻き迄撮影されててビックリ

>何か別の事を考えよう
 この一言で思い出したのですがかなり昔「頑張れジャイアンツ」って歌。
気持ちを分散させ或いは紛らわせる為の歌なんですがご存知で?
http://www.youtube.com/watch?v=kMN-aT37os0
ちょいと目的が違うみたくですけどね。
まあ「頑張れタイガース」じゃドンドン落ち込むでしょうし、今年の場合は特にね。
 

うんちく | URL | 2012年07月01日(Sun)17:09 [EDIT]


リバーさん
>ガンガン音は頭部断面 トットロ、トットロ音は脳内血管の3D画像撮影用
音感による診断内容って、私が適当に書いた内容であっているんですか?
それは驚きの世界ですが、ちょっと前にテレビでやっていた、海堂 尊原作のやはり、MRIを題材にした映画、それと同じ様な事故があったなんて初めて知りました。
 受診しているときは、閉所恐怖症によるパニックが起きないかと言うことしか意識に無かったので、そんな重大な事故があったなんて気にもしません(出来なかったというのが本当の所ですが・・・)でした。
 でも、自分の弱さを再認識出来た検診ではありました。(私も検査中に寝れるような図太い神経を持ちたいものです。・・・尊敬の念を込めて言っていますので誤解のなきよう。)
 

四方山果無 | URL | 2012年07月01日(Sun)20:21 [EDIT]


のらくんさん
>失礼ながら、描写おもしろかったです。
面白がっていただいて幸甚です♪
でも、本人にとってみれば、結構大変な場面だったんですよ。色々と対策が思い浮かんだのですけれど、これってどこかの病院もしくは機器開発メーカーで反映していただける内容ではないでしょうかね。

四方山果無 | URL | 2012年07月01日(Sun)20:29 [EDIT]


うんちくさん
リバーさんも、のらくんさんも、うんちくさんまで皆さん何事もなく受診されているのですね。私が少数派であった(閉所恐怖症等において)のですね。皆さんがうらまやしい。
 がんばって耐性を向上しなくては。

四方山果無 | URL | 2012年07月01日(Sun)20:38 [EDIT]


MRIを題材にした映画、それと同じ様な事故があったなんて

この話は仕事でヒューマンエラーを調べていた際に分かりました。病院の部屋に消火器があっても、普通に思うだけで見過ごされていたのです。現実には強力な磁場が発生する場所には厳禁となるのですが、これがヒューマンエラーとなるのです。

ある一面、設置したメーカーは使用時の注意に対する説明不足でもあるのです。エラーとは重なる時には重なるものです。

血管の撮影は血液中のヘモグロビンに鉄分が多く含まれている点を、逆さに利用して撮影しているものと思われます。
脳の大半は蛋白質ですから、撮影時の磁力と周波数を変化させれば良いと思います。

脳神経外科では必需品となっています。
MRIで撮影された映像は、すぐにパソコン上に処理されます。レントゲンの平面だけでは「見落とし」が生じます。それは医師自身が一番分かっているから個人病院でも無理して設置しているのです。

リバー | URL | 2012年07月02日(Mon)20:15 [EDIT]


リバーさん
 テレビでやっていた映画の題名思い出しました。「アリアドネの弾丸」だったと思います。私の大好きな尾見としのりがあんまりいい役じゃなかったけど出ていた映画でした。
 しかし、何の苦痛もなく(あ、精神的な苦痛は別として)あんなに素晴らしい脳の断層写真や、脳血管の三次元映像が取得出来るなんて本当に素晴らしいと思います。細心の注意を払っての使用・・・というのが大前提ではありますが。
 ちなみに、私、結構3次元スキャンには興味があって、学生時代には多変量解析を自分のライフワークにしたい・・・?なんて考えていました。

四方山果無 | URL | 2012年07月02日(Mon)23:20 [EDIT]