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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評「阪急電車」(有川浩)

 可愛らしい小説である。阪急電車今津線の八つの駅とその間を行き来する阪急電車の車両の中を背景とした短編が往復で16編。女性らしい細やかな視点で綴られている小説です。

 そこに登場してくる人物は行きと帰りとでは時が少しずれている、同じ人の過去と現在を描いている。そして、それぞれに物語りを持った人達が繋がったり別れたり、すれ違ったり・・・。有川浩さんはこのあたりの描写がなかなか秀逸だ。でも、このようなことは恐らく実際の人生の中でも時にはある出来事なのだろうな。  恋の始まり、関係の終わり、復讐(呪い)、あこがれなど、ここで語られるそれぞれの物語りはそのあたりにいっぱいころがっているものだろう(ただし、恋人を寝取った会社の同僚の結婚式に討ち入りに行く美女の話しは珍しいかも)でもそんな些細な出来事を作者は人生に散りばめられた煌めく星のように表現している。(討ち入り帰りの彼女の話にしてもだ)  阪急電車の今津線には乗ったことがあるはずなのだがあんまり記憶にない。おそらく変哲のない鉄道なのだろう。そんなありふれた鉄道の日常の中にこれだけのストーリーを見いだすことは素晴らしい。人生に感銘を与える、つまり、生きる意欲を与えてくれるそんな“お話”を日常から拾い集め気づかない私達に教えてくれるのだ。  “日常”、実はこれが人生のほとんど全てを占めるんですね。そう思うと日常は一番大切な場面であって、一番楽しむべき大切な時間なのですね。そんなことを教えてくれた小説でした。  Gやんさん、いい小説を紹介していただき、ありがとうございました。 阪急電車

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コメントコメント


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四方山果無さんの記事は毎回楽しみに拝見していますが、書評コーナーにはぐぅの音も出ません。
まず、僕は本を読まないカタログ人間だから。
そして、書評の内容が難解で頭に入ってこないのです。(随分と噛み砕いてられるとは思いますが。)
本当は書評を見て「読みたくなった!」となれば、狙い通りなのでしょうが・・四方山果無さん、ゴメンナサイ。

阪急電車は毎日の通勤で使わせていただいてます。神戸線でビジネスライクな雰囲気ですが、この作者なら、いろんな人間模様が観えるのでしょうね。
ただ私でさえ、西宮北口駅の宝塚側の今津線ホームは、一味違った雰囲気を感じます。
生活感に溢れ、時間がゆっくり流れているような落ち着きがあります。
ホームは終着で行止まりとなっているのも、それに一役かっているようですし、ホームにある喫茶店も昭和モダンな感じで、カウンターには30年前から通い詰めている人がいるように見えます。

私も日常を楽しめたらイイな~!と思います。

Gやん | URL | 2011年10月27日(Thu)09:18 [EDIT]


今津線は懐かしいですね。
西宮北口駅で直角クロスしてた随一の鉄路だったのでは?
 今津駅を出ると暫くして登り坂になるのですが、電車は上下切り替えの出来無いヘッドライドなので沿道を走るとやたら眩しくて困ったモノです。
 そんな電車に思わずパッシングをしたのは誰あらんワタシですが・・・当時セリカLB2000GTでブイブイ言わしてました(遠い目)&助手席に誰が乗ってたか忘れたい、嗚呼!

欠食児童 | URL | 2011年10月28日(Fri)00:11 [EDIT]


Gやんさん
 コメント有り難うございます。
読後の感想を人に伝えるのはなかなか難しいですね。感情ばかりが先行すれば、その小説の内容が解らない。解説やあらすじばかりだと、自分の感情が伝わらない。両方伝わってもはたして、その小説の良さはつたわったのか?まーよくわかりませんけど感銘を受けた小説(映画も同じですが)は、自分が心動かされた事を他の人に伝えたい。単にその衝動だけで読書感想文を書いている状況です。”書評”とは少々烏滸がましいとも思っています。

四方山果無 | URL | 2011年10月28日(Fri)00:28 [EDIT]


欠食児童さん
>当時セリカLB2000GTでブイブイ・・・・
セリカLBってマルソーのクルマ(と当時は思われていた)じゃないですか?(私はちょっとあこがれていましたが・・・)しかし阪急電車にパッシングするなんて普通じゃあり得ないですね。事故になったら大変ですよ。
 日々通勤で乗っている電車、有川さんのようなストーリーも浮かんでこなければ、窓外の景色もあまり興味もなく過ごしていたのですが、この小説をよんで、武庫川や神崎川、淀川の河原に何か書いてないかと見たりしています。”酒”なんて書いてあるのを発見すればその日の帰りには・・・。あ、一つありました。山陽本線の加古川から神戸を過ぎる当たりまでの私のお気に入りアイテムがあります。また機会があれば紹介しますよ。

四方山果無 | URL | 2011年10月28日(Fri)00:58 [EDIT]