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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評「ピスタチオ」(梨木香歩)

 小説「ピスタチオ」は2008年5月「ちくま」にて初出、2010年10月単行本になった。「家守綺譚」を読んで以来私は梨木さんの大ファンです。早く次の作品が出ないかなと楽しみにしていたのですが、なんと知らないうちに出ていました。

  私、犬や猫は大好きなのですが、それが出てくる小説はいまいち好きになれないのですね。ま、この作品では、前振りくらいなのでまだ我慢ができますが。

 本題は主人公がアフリカへ旅立ってからの話し。そして山場は、ウガンダとコンゴの国境近くのルウェンゾリという山の麓での出来事。(この小説の題名はなぜピスタチオになったのか)終盤にある“小説の中に挿入された小説”はメインのストーリーからの関連を念頭に読むと、素晴らしく心打たれる。

物語の中盤、主人公の棚(というペンネームの女性)がアフリカで旧友の足跡をたどり、その死因を探る。呪術により病気を直すシャーマンを訪ねた時、知り合ったナカトという少女、彼女は反政府組織LRAに家族を殺害され、双子の妹を連れ去られた。その妹を捜す手がかりが棚であるという。棚とナカト、そして、旧知の三原やNGOの千野らとの行動はアフリカという未知の場所の雰囲気がわかり興味深い。

 ”人の人生(死者には)にはそれを抱いて眠るための物語が必要”という言葉がありました。この小説のエッセンスだと思います。誰の人生でも他の誰かが物語りを紡ぐ、それにより死者の魂に平穏が訪れるのだ。ルウェンゾリからの帰途、棚と三原の会話が感動的でした。

 少々読みにくい小説だけど、その中に隠れているキラリと光る部分、これを見つけた時は幸せを感じられますよ。

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