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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評「神様からひと言」(荻原浩)

 インスタント麺を作る小さな老舗会社、広告代理店をやめ、そこに就職した主人公がリストラ要員収容所である、「お客様相談室」で奮闘する小説。
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 いつもながら荻原浩の文体は軽妙だ。話言葉の後に付け加えられる一文に思わず吹き出してしまう。(これって電車の中で読んでいると結構辛い面がある、含み笑いをしていると、まるで変なおじさんだ)
 この小説で私が特に良かったと思ったのは不良スクラッチシートをネタに脅しに来たチンピラをのメンバー全員で撃退するシーン。社内の日和見上司の名前を語り、原因を作った部署の責任者から謝罪のための金を巻き上げ、上前をはねる!素晴らしい篠崎の策略と、度胸、皆で役割分担をして見事に撃退したチームプレイ。日頃役に立たないという烙印を押されたメンバーが素晴らしい能力を発揮するのである。その夜、責任者よりせしめた謝罪金をピンハネしたお金で食べに行った寿司はさぞうまかったろう。
 それからもうひとつ、最後に近いところで、ギャンブル狂いの篠崎が新たな目標を見いだした所。苦情処理会社を「お客様相談室」のメンバーで立ち上げようというのだ。最初はどうしょうも無い使えない輩の集まりであったのが、ここに及んでみんなそれぞれに素晴らしい特技とキャラを持っている魅力的な人達になったこと。人を生かす、能力を引き出す。この小説のそんな場面にはとても感動するのだ。これは、社会一般にも通じるところだと思う。
 荻原浩の小説のプロットは素晴らしい!この小説も、「誘拐ラプソディ」や、「メリーゴ-ランド」もそうであったが、多くの”お楽しみ”が盛り込まれていて、それが破綻無く繋がっている。すごいなと感心するのである。
 これは絶対にお得な小説です。

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