
車のレストアのやり方については、皆さんそれぞれにご意見をおもちのことと思います。まず、一番オーソドックスで、一番大変なのはオリジナルに忠実に修復すること。うまく行けばきっと、旧車コンテストに優勝出来るかも?
しかし気になる問題が何点かあります。古い車は安全に関する装備もその時代を反映していること。1966年式のカルマンギアはヘッドレスト無しのシート、シートベルトがあったかどうか不明、取り付け穴はあるようですが、恐らく2点式だったでしょう。ブレーキもシングルシリンダの4輪ドラムです。1968年式より前輪がディスクになっているようです。当然のことながら、ABSどころか、マスターバックすら付いていません。今の車のブレーキに比べるとかなりフィーリングが異なる事でしょう。
また、燃料の給油口もフロントフードの中にあります。そのため、給油の時には、フロントフードを開かなければなりません。もっともこの辺りは当時の文化を忍ぶべき所かもしれませんが。
電装に関しても大きな問題があります。1966年式カルマンギアは電装が6ボルトなのです。”たま”はすでに12ボルトに改造されていましたが、オリジナルに戻すには結構大変であり、その価値はあまり感じる事が出来ません。
そして、バックランプが無いこともちょっと問題だと思います。多くの国産車はその当時でも、外付けのバックアップランプがあり、オプション設定だったのではないかと思いますが、バンパーなどにランプがついていました。しかし、カルマンギアはミッションからバックギヤに入れた時にランプを点灯させるための接点自体がでていないようです。これは大きな問題です。今からどうしょうかと悩んでいます。
そして、一番大変だと思われることがあります。”たま”はエアインテークが埋められているんです。カルマンギアの大きな特徴のひとつ、フロントにあるエアインテーク。これを復旧させようとするとかなり大変です。
このエアインテークの役割は前部から走行風を室内に取り入れる役割があり、ダクトの温風、冷風の切り替えが運転席のダッシュボード下にあります。しかし、フロントフード内や、フェンダー内を見ると、取り入れ口からそのダクトに至る配管も見あたりません。この復活は大変なことです。
また、部品の問題もあります。レアな部品はなかなか手に入らず、117クーペのハンドメイドの部品なんかはインターネットでもかなり高い価格が付けられているのが実態です。
それではオリジナルにこだわらず機能復活優先で修復方法は?要するに年式の異なる部品も流用してとにかく動くようにする。これなら気楽ですね。多くの部品が未だに生産されていると言われているフォルクスワーゲンではあるけれど、中には無い部品もある。先日ようやく外れたペダルセットとか、シートレール、ステップパネルの横を通るヒーターダクトも部品は無いようです。なんらかの工業製品を流用するしか方法は無いでしょう。
”たま”は1966年製、カルマンギアの1966年式はかなりレアな年式のようで、モールの付いたインパネが特徴的です。デザイン等は年式の特徴を生かしながら機構部はいろんな部品の流用も考慮しレストアしていくのが”たま”のレストアのあるべき姿なのではないかと思っています。


