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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評[f植物園の巣穴」(梨木香歩)

夢、ここで言う夢は寝ている時に見る夢なのだが、中には何とも理不尽な情景のものを見る時がある。おおくの人に聞いて回った訳ではないが、少なからず理不尽な夢を見る人がいることは確かだ。

 私が見たその類いの夢を披露すると、自分がほしがっていた物が偶然手に入る。自分はひとつでよいのだが、あちらからひとつ、こちらからふたつとたくさん自分の元に集まり、幸せな気持ちと同時に、こんなにたくさんどうしようと、かえって困ってしまう・・・というものや、親しい友人が自分が大切にしている物を欲しがっている、しかし、なかなかあげることが出来なくて逡巡している場面とか、勿体振って、恩着せがましく差し上げるという場面や・・・昔住んでいた古い家の、階段を上り、長い廊下を歩いて部屋に入る、しかし実はその部屋へ通じる自分が知らないもう一つの階段があって、夢の中でその階段を駆け登って行く自分の姿を見たり・・・
 夢は、あんまり長いものはない。覚えているのは目覚めるほんの少し前に見たものだけのようだ。しかし、長い夢を見る手法があるのだ。目覚めようとする時に、「この夢の続きを見たい」と思った時は起き出さずに再び眠りの世界に戻るのだ。そうすると、その夢の続きを見ることが出来る場合がある。所詮夢なのだから見たってそれが現実になるわけではないのだが、私は変わり者なのか結構こだわる時があるのだ。
 そんな手法で結構長編の夢を楽しんだことが何度かあった。その長編の夢とは・・・・恋焦れていたが、話しかけることも出来ずにいた女性に意を決して話しかけると彼女も親しげに話してくれる。いろんな話しを延々と続け、僕は君のことがとっても好きなんだと打ち明けると、実は彼女も同じように思っていてくれた。それから先もこんな楽しい会話が延々と続き、僕の心は幸せで一杯になる・・・というまことに自分本位な、都合の良い夢であった。当然そんな現実にはありえない喜ばしい場面であるから、いつまでも見続けていたい!だから、目覚めようとすると、無理やりまた夢の世界に戻ろうとしていたのである。
 しかし、そんな楽しい夢を見る事はまれであり、多くは先に述べたような、なんだかわからない夢が多いのである。
 見たくない夢もよく見る。それは、自分がすごく恥ずかしい思いをした夢である。実はこれには背景があって、見る夢と同じように恥ずかしいと感じた現実があったのである。私は実は随分恥ずかしがり屋で、かつ、恥ずかしい場面を経験すると、後々まで慚愧に思い、何十年前の出来事であっても、思い出すと思わず「ギャッ!」と悲鳴を上げてしまうのだ。そんな恥ずかしい場面が夢に出てくることがある。そんな時は、一生懸命その場面から逃げようともがくのだが、なかなか目が覚めない。それどころか、追い打ちをかけるように、夢の中の登場人物が、自分を囃し立てるのだ。
 書評を書くつもりが何だか自分の夢の話ばっかりになってしまった。寝ている時に見る夢はその人の心の内を映す鏡のようなものかも知れない。心残りな出来事、潜在的な意識の中に隠してしまった出来事、大変恥ずかしく思ったことや、非常に憤りを感じたことなど、いままでの人生の中で経験した喜怒哀楽、そしてもっと深い自分の心の世界が背景として出てくるものではないだろうか。
 延々と続く曖昧模糊とした世界、混沌とした中から徐々に現われてくるかつての出来事、自ら塞いでいた振り返りたくない世界。理不尽な展開であるにもかかわらずどんどん読者を引きずり込む梨木香歩さんの手腕。読み終わった後、思わず自分の潜在意識の世界が気になってくる。

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コメントコメント


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まあ夢と言うても覚醒しつつ思い描く夢と寝てる間に見る夢の二色有りますわな。
 フロイトによると(嗚呼!又始まった)夢と言うのはワインのボトルの底に沈んだ滓が何かの衝撃で突然蘇る事なんだそうです。
 では?夢を見る時と見ない時が有るのかと言うと実は人間だけで無く有る程度知能の高い動物は皆毎日夢を見るそうで、夢を見て無いと思ってるのは単に見た夢を覚えて無いだけなのですよ。
 でわ!覚えている夢といない夢の違いは如何に??
 
人間長い間やってるとドンドン記憶が溜まって参りますが脳にも限界容量と言うものがありいちいち全部覚えているとアッと言う間に満タンになっちゃいます。
 そこで寝てる間に脳が勝手に忘れるべき記憶と忘れてはイケ無い記憶を仕分けしてる過程で夢を見るのであります。
 ただ困った事に忘れたいのに忘れる事の出来ない記憶も残されてしまう事も有りこれは本人に選択肢が無いのですな。
 つまり!忘れてはならない&忘れる事の出来ない記憶が夢として残りそれ以外の記憶は全て永遠に葬りさられてしまう??かと言うと!そうでも無くて・・・・ここで最初のフロイト説に戻る訳です。
 
 夢見心地四方山さん
>思い出すと思わず「ギャッ!」と悲鳴を上げてしまうのだ。そんな恥ずかしい場面が夢に出てくることがある。
 つまりこの類の夢は忘れたいのに忘れる事の出来ない夢の代表で有りそれがワインの底の滓の如く突然夢として舞い上がるのであります。
 
ワタシの場合よく見る夢が学生時代に付き合ってたおねぃちゃんでしてネ。
 夢で見る彼女は学生なんですが何故か自分はおやぢなんですよ(号泣)。
 これって不公平な気もするんですがね。
 ちなみに四方山さんは寝ぼけて嫁じゃ無いおねぃちゃんの名前を寝言で呼んだ事有りません??
 起きてから詰問されてもなぁ・・・(遠い目)

うんつく | URL | 2010年02月13日(Sat)21:46 [EDIT]


うんつくさん
”夢と言うのはワインのボトルの底に沈んだ滓が何かの衝撃で突然蘇る事”
なるほど、情景が目に浮かびます。とすると、平穏ならば、夢をみることも少ないのかな?私はほぼ毎日見ているような気がします。

>ちなみに四方山さんは寝ぼけて嫁じゃ無いおねぃちゃんの名前を寝言で呼んだ事有りません??
うー、これについては自分で自分の寝言は聞くことが出来ないのでなんとも言えないですね。でもたいがいは嫁より遅く寝て、早くおきるので、聞かれることはまずないでしょう・・・・とたかをくくっている自分。

四方山果無 | URL | 2010年02月14日(Sun)06:56 [EDIT]


こんにちは。同じ本の感想記事を
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藍色 | URL | 2010年06月21日(Mon)17:32 [EDIT]