FC2ブログ
 

2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評「マリコ/マリキータ」(池澤夏樹)

 池沢夏樹の短編小説である。村上春樹の文体に少し似たさわやかで軽やかな表現をしている。悪く言えば、ふわふわと軽い印象を受ける。でも、この小説はよかった。グアムで会ったマリキータと呼ばれている、日本人の女性の自由奔放な生き方に、文化人類学者の主人公が、強く引かれて行くという流れである。

 堅苦しい決まった生活を好まず自由に生きる。いろんなトラブルにまきこまれ、つらい目に逢ってもどこかでその状態を楽しんでいるような彼女の生き方は、学者である主人公とは随分対象的なものであり、しかも彼女は、近くに困っている子供たちがいるとほおってはおけない性格で、色々とめんどうをみるのである。
 日本に帰らなければならない主人公は、帰った後もずっと彼女のことを思い手紙を書く。しかし、彼女からは宣言どおり、返事はこない。そしてついに再び彼はグアムに行くことになる。空港に降り立っても彼女はいない。彼女からはのアパートをたずね、かつての彼女からはのビジネスパートナーからきいたのは・・・・
 心ひかれる女性の生き方。こんな生き方もあるのだと、頭が固くなってしまった自分はうらやましく思うのであった。
 生き延びてはや半世紀、未だに逡巡と後悔と、あこがれが混じったそんな気持ちでの生活、そんな中でわくわくする気持ちを持って読めた小説の一つでした。

スポンサーサイト

PageTop
 

コメントコメント


管理者にだけ表示を許可する