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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

書評「邪魔」奥田英朗

 なかなかおもしろいフィクションだった。九野という刑事、裕輔という高校生、恭子という主婦、この三人を中心とした三つの話がオムニバスになっている。中盤からは、九野という刑事がそれぞれの主人公とかかわりあって話が展開するのだ。

 主婦恭子は、平凡な幸せを願う主婦であり、夫の収入を助けるために、スーパーでパートをやっている。パートの権利を守るといって現れた運動家にだまされ便利使いされる。最後は、スーパーの社長と寝るという、むちゃくちゃな展開になる。しかし、その後はさらにむちゃくちゃな展開が・・・。
 彼女の夫は会社の金を使い込み、監査の前にそれを隠すために放火する。警察はその会社と昔もめごとがあったやくざの仕業だと勘違いし、やくざを重点に捜索する。九野は、同じ捜索で会社の担当となった。そして、早い段階で第一発見者である恭子の夫が真犯人であることを突き止める。
 九野は実は妊娠していた妻を7年前に交通事故で亡くし、毎週末にはその母の住む家へ行き母と一緒に墓参りするのだ。
 裕輔はおやじ狩りの最中に九野に捕まり殴られる。
 やくざの大倉はシャブ中毒の刑事、花井と連んでいて、女関係で九野を逆恨みしていた。そのため、裕輔を探し被害届を出させて九野を警察から追い出そうとする。裕輔はやくざに脅され、とうとう部屋住みまでするようになってしまう。こんな話が延々と絡まって、全体が進行していくのである。さて最後はどうなるのか・・・・?
 なんともしんどい小説であるが、なかなか面白くて没頭してしまうのである。
 奥田英朗の小説は、以前「最悪」というのを読んだ。これもなかなかおもしろかった。破天荒なおやじの元、苦労する少年が主人公である。舞台は南の島まで飛んでそこで、都会資本のリゾート開発者と闘うのだ。結構スケールがある話であり、なかなか楽しませてもらった。この「邪魔」もおなじくらい面白い。この小説のなかには邪魔という言葉が一度きりしか出てこない。それを探すのも面白い趣向である。

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