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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

夜の樹(トルーマン・カポーティ)川本三郎訳

 最近トルーマン・カポーティを読んでいる。随分前に彼の一番有名な小説である「ティファニーで朝食を」は読んだ(http://hatenasi.blog87.fc2.com/blog-entry-636.html)コチラが、その後はご無沙汰だった。
カポーティ

 

 少し前に「草の竪琴」「遠い声・遠い部屋」そして今「ミリアム」が収められている「夜の樹」を読んでいる。
 読書はもっぱら長い通勤時間(片道2時間)にしているがここ最近2度も東京日帰り出張があったので随分読み進んでしまった。彼の小説を読んでいると、どんどんと心の内面に入っていき、息苦しくなってくる。しかし読むことを止められない。
 彼は二十歳代から素晴らしい作品(本書に収納されている夜の樹、ミリアムもその当時の作品)を書き、「恐るべき子供」と評されていた。
 彼には二面性がある。ティファニー・・のような比較的明るく軽い作品と、ミリアムのような内向的、心の中の闇的な作品がある。孤独、不安、恐怖という負の部分が後者の作品には色濃く出ている。ま、読んでいると段々暗くなるんですね。そして怖くなってくる。そんなんやったら読まんかったらええやん。と言われるかもしれないけど。でも、この世界を知らずにいるのは後で後悔(後悔は後でするものですが・・・)すると思い、止められないのである。
 書評になっていないと言われるかも知れないので、「ミリアム」について、
未亡人で61歳のミセス・ミラーは一人でニューヨークのマンションに住んでいた。生活は日々単調な繰り返しであった。ある時、映画を見に行った。その時にであったのが少女ミリアム、実はミセス・ミラーの名前もミリアムだった。彼女は一人で映画館に来ていた。その不思議なミリアムはそれから何故知っているのかわからないが、彼女のマンションを訪れ、我が儘の限りを尽くす。ミセス・ミラーは最初は怒りをもっていたが、徐々にそれが恐怖に変わってきた。ある時ミリアムは大きな荷物とフランス人形を持って彼女のマンションに現れた。そして此処で一緒に暮らすという。混乱したミセス・ミラーは階下の住人に助けを求めに行く。階下の住人が彼女の部屋へ見に行くがそこにはだれも居なかった。しかも、外へ出るには階下の部屋の前を通らないとでられないのだが、そこは誰も通らなかった。
 ミセス・ミラーは部屋に帰った。そして何故あんなにあの少女を恐れていたのか、またそれは果たして現実だったのか。落ち着きを取り戻した時、奥の部屋で絹ずれの音が、そしてそこにはあの少女が立っていた。
 一種スリラーのような小説なのだが、少女ミリアムは本当は自分の分身なのではなかったのか、日々単調な生活が延々と続く中、自分の潜在的な意識が作り出した現象がその少女だったのかも知れない。
 その少女が現実ではないと認識した後、再び現れた時の恐怖は数倍に増幅される。そんな心理的な揺さぶりも秀逸である。

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