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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

「神々の山嶺」作:夢枕獏、画:谷口ジロー 集英社文庫(コミック版)

「なぜエベレストに登るのか」との問に「そこにあるから」と答えた事で有名な登山家ジョージ・マロリー、1924年6月エベレストの登頂を目指したが帰らぬ人となってしまった。1999年に国際探索隊によって遺体が発見されテレビでもその様子が公開された事はご存じの方も多いと思う。しかし、彼が持っていったカメラは見つからず、世界初の登頂を果たしたかどうかはいまだに不明なのである。
神々の山嶺

この物語「神々の山嶺」はカトマンドゥの古物商で見つかった古いカメラがそもそものスタートである。生涯不遇であったが並はずれた闘志と執念そして体力を持つ日本人登山家、羽生の謎の後半生、そしてチベットの古物商の所で古いカメラを見つけたカメラマンの深町がそのカメラの来歴を調べる過程での色々な事件や羽生との出会いが物語りのストーリーである。
登山とは何か、なぜ人は山に登るのか、根本的なその問いがこの物語の舞台であるエベレストの過酷な環境の中、生き延びる事の大切さや帰る事の重みを深町に語らせている。
羽生はネパールに不法滞在しながら、エベレスト南西壁冬季単独無酸素登頂という今だ誰も成し遂げていない試みを実行に移す。深町はその羽生の姿を留めるため羽生に追従する。そして7200メートル地点で疲労し、落石に遭い羽生に助けられ、そしてそこで別れた。その後、8500メートルを登る羽生の姿を撮影し山を下りたが羽生は帰ってこなかった。
深町は日本に帰っても自分の心を満たす事が出来なかった。それは羽生の姿を最後まで見届ける事が出来なかったから。数年後深町はまたエベレストに向かう。
羽生もそして深町も語る言葉、「想え」。昔から延々と続く未踏峰への挑戦、不可能への挑戦、言い換えれば人生とは何かという永遠の問いに対する先達たちの行為、それを想う事が人生とは何かを解く鍵であったのだ。
「羽生よ、俺に憑いて俺について来い!」エベレストからの下山の時に心の中で叫ぶ深町。その想いは人生の目標に命を賭してたどり着いた者に対する優しさがにじみ出る。
今回は原作を読まずにM君から借りたコミックで初めて読んだ作品だったが山岳描写の素晴らしさも相まってとても感動した。よかったです。

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