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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

砂の城(遠藤周作)

加古川市立図書館で借りた本を紛失してしまった。西加奈子さんの比較的最近の小説だ。小説を読むのは基本的には通勤電車の中なのでJRの忘れ物センターに二度も電話で問い合わせ、登録もした。先日、図書館に行って紛失届けも出してきた。即刻弁償かな?と思っていたら探されるのであれば猶予はありますよとのありがたいお言葉だったので2週間猶予をもらい、それでも出てこなかったら同じ本を購入して持っていこうと思っていた。そう、現物での弁償なんですね。代金を支払ったらいいと思っていた。しかし、古い本で既に廃版になっていたらどうしたらいいのかわからないけど。
で、とりあえず出てくるのを待とうとしたら、本日図書館から電話があり、図書館の近くで見つかったとのこと。”近くで”というのはどんなシチュエイションだかよくわからないが、紛失したのは電車の中であることは確実なので、誰か親切な人が図書館(近く?)まで届けてくれたのだろう。有り難い事です。どなたかは知りませんがありがとうございました。
砂の城

前置きが長くなりましたが、紛失届けを出しに行ったついでに借りてきたのがこの(砂の城)なのです。実は遠藤周作の小説はかつてそのほとんどは読んでいたのですが、これは知りませんでした。硬い小説である、海と毒薬とか、沈黙。柔らかい小説というかエッセイというか、かの狐狸庵物との中間くらいの小説で、当時の世相を反映した作品でした。
この小説の年代は1970年台末頃で、なぜ、今ごろ?と言われるかも知れないが、先日、テレビを見ていたら何かの宣伝でその名前が紹介されたからでした。本当に前置きが長くて申し訳ない。
さて、本題に入って、あらすじは幼馴染みの二人の女子短大生と1人の大学生そしてその友人が歩んだ人生を書いたものである。物語の始まりは主人公の泰子が16歳になった時父親から幼い時に無くなった母親からの16歳の泰子に宛てた手紙を渡された。その手紙には母親が16歳の時に心引かれた近所の男性の事、二人で行った逆瀬川の清流、そして母親はスチュワーデスに憧れていた事などが書いてあった。戦時中ゆえ恋愛などは許されず、思う人は出征し、幸いに生還したものの、母親の恋は実らなかった。しかし、その手紙にはひとつの美しい詩がかかれており、泰子はその詩をとても好きになった。
その詩に込められていたのは、「美しいものと善いもの」を探し求める事であった。泰子は短大の英語劇で共演した大学生の西に心を寄せ、親友のトシと西の友人、星野の4人で一度だけ島原までドライブした。(あ、いい忘れていたが、この小説の背景は長崎で、母親が独身の時に住んでいたのが神戸です)島原の原城は多くのキリシタンが弾圧され虐殺されたところで海辺の危ういところに作られた脆い城でした。「崩れるとは知りながら波の引く間に急いで砂をかき集めて作る砂の城」ここがこの小説の原点なのでしょう。
やがて、トシは星野と共に神戸へ駆け落ちする。西は所在不明となる。その西と再会したのは泰子が念願のスチュワーデスになり搭乗した飛行機の中、それもハイジャック犯としてだ。
 トシも過酷な人生を送っていた。星野は軟弱者でトシに信用金庫の金を横領させる。拘置所に収監されたトシはそれでも星野を愛しているという。
 行為はどうであれ3人それぞれ、思いを持ちひたむきに生きるという姿が脆い砂の城と重なるのである。友人の行為を見て人生に迷っていた泰子はインドで偶然に出会った母親の思いを寄せた人、恩地勝之と出会い「美しいものと善いもの」とは一体何かを示唆される。

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