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2台のクーペと”四方山果無(よもやまはてなし)”World

「無人島に生きる十六人」(須川邦彦)

漂流譚である。大正時代、日本の漁民は動力を持たない木造帆船で大平洋に乗り出していた。漁業調査に出た龍睡丸はハワイ諸島からミッドウエー諸島に向かう途中、厳しい波浪のために岩礁に打ち付けられ難破した。乗組員16名は唯一残った伝馬船1槽で無人島に上陸し、助けが来るまでそこで暮らすことになった。
無人島に生きる十六人

少々出来すぎたストーリーなのでフィクションかと思っていたが、この話しはどうやら実話らしい。船長の指揮のもと、規律正しく生存のための努力をし、日常の生活は規則正しく行いみんなで協力しあった。木を擦り付けて火を起こし、常に種火を絶やさず、魚や海亀を食料にしながら生きて行った。小屋を掛け、流木でやぐらを組んで見張りをたてた。井戸を掘り、また、雨水も溜めた。時間があれば年長者が先生となり海や航海に関する学校を開き、若者は熱心に勉強した。生活が安定すると、冬場に向かっての準備を進め、近隣の探検もした。物語は何の不安も無く進んで行く。その辺りを見てフィクションかなと思った次第なのである。
ある日、水平線に帆柱の先端が見え、遭難者達はのろしを上げ、伝馬船を力一杯漕いだ。はたしてその船は日本政府が漁業調査のために派遣したものであった。
まあ、結果オーライのところもあるが、そんな話しである。印象的だったのは、日本人とはいかに規律を守り、行儀がよかったのかという部分だ。16人も居ればそのうちの何人かは暴れるだろうし、絶望もするだろう。漂流に何度も遭遇した年配者が若者にたいしてそんな境遇に耐えれるように配慮もしていたが、実情は苦しかったに違いない。そう思うと16人の遭難者は皆素晴らしい者ばかりだと思うのである。
日本人というナショナリズムはこの大正時代、かなり強くあったのだろう。(今は決してそうではないけどね)

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